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プレスリリース

平成17年4月11日
糖転移ヘスぺリジンの血中脂質代謝改善作用をヒトで確認
高脂血症状態の中性脂肪値を約3〜4割低減 日本栄養・食糧学会で発表
株式会社 林原生物化学研究所

このたび株式会社林原生物化学研究所(本社:岡山市下石井 社長:林原 健)では、独自に技術開発した糖転移ヘスぺリジンを用いて、ヒトでの血中脂質代謝の改善に着目して試験を行ない、明らかな中性脂肪低減作用のあることを見出し、その作用機序の解明にも成功しました。 ヘスぺリジンに糖を結合して水溶性に改善した糖転移ヘスぺリジンを、血中脂質の一つである血中中性脂肪値の高い被験者が1日500mgを摂取したところ、試験期間中、中性脂肪値が平均で約3割低減しました。また、この効果の作用機序についても肝臓細胞を用いて研究を進め、糖転移ヘスペリジンにVLDL(超低比重リポ蛋白質)の分泌をバランス良く保つ作用のあることを解明いたしました。
今後は、この糖転移へスぺリジンの更なる機能解明と血中中性脂肪低減作用を活かし、食品・医薬品分野での用途開発を進めて行きます。

また、これらの研究成果については、第59回日本栄養・食糧学会大会(5月12日〜15日:東京農業大学)で発表いたします。


ヘスぺリジンは、ミカンなどの柑橘類などに多く含まれるフラボノイドの一種で、血管強化作用を有するためビタミンPともいわれています。しかしながら水溶性が低く、100mlの水に僅か約0.002gと殆ど溶けず、その具体的機能の解明や食品分野での活発な利用は進んでいませんでした。

そこで林原では、自社の有する微生物・酵素利用技術を活用し、世界で初めて、水に溶けにくいへスぺリジンに酵素反応によりグルコース(ブドウ糖)を結合させ、水溶性を約10万倍に改善(100mlの水に約200g溶解 )させた糖転移ヘスペリジンを独自に技術開発しました。

この独自製造技術は、1998年に東洋精糖株式会社に技術供与し、林原のライセンスに基づいて東洋精糖で製造した糖転移ヘスペリジンを、林原商事、東洋精糖、江崎グリコ、田辺製薬の4社で、主として食品分野に販売してきました。

その後、近年の健康ブームを背景に、ポリフェノール、フラボノイド、ビタミンPの一種として糖転移ヘスペリジンの需要が急増しており、これらの需要増加に対応するため、将来の製造能力拡大も視野に入れて、本年より林原自身での本格的な製造を開始しました。

こうした方針の基、さらに糖転移ヘスペリジンの各種の作用を検証し、データの充実化を図るため、各種の実験に取り掛かっていました。その結果、昨年マウスによる実験により、血中中性脂肪の低減効果を確認しました。さらに、今回のヒトによる実験でも、同様に血中中性脂肪の低減作用を確認しました。

実験は、成人男性25名が1日1回、就寝前に糖転移ヘスぺリジン500mgを6ヵ月間、連続摂取し、血液中の脂質の量を検査・分析いたしました。その結果、実験開始前に血中中性脂肪の値が150mg/dL以上の高脂血症の被験者の値を、摂取1ヶ月後に平均 約4割低減(226.5→142.6mg)、最終の6ヵ月後にも約3割5分低減、6ヵ月間平均で約3割低減することを見出しました。一方、150mg/dL以下の健康な被験者には、ほとんど影響がありませんでした。

そして、その作用機序については、別途、ヒト由来の肝臓細胞を使用した実験により、生体内で糖転移ヘスぺリジンを加水分解してできたヘスペレチンが、肝臓細胞内でコレステロールと脂肪酸の結合を防いで、コレステロールエステルの合成量を低下させることによって、肝臓からのVLDL(超低比重リポ蛋白質)の分泌をバランス良く制御して血液中の中性脂肪の低下に寄与し、動脈硬化などの予防に役立つことを確認しました。

今回の林原の研究成果は、以下の点で大変意義あるものと言えます。

1、 ヒトによる長期に亘る実験で、糖転移ヘスペリジンの有効性を立証したこと。
(ヘスペリジン自体については、今までにも、血管強化、血中脂質改善など様々な作用が言われているが、経験則に基づくものであったり、細胞・動物実験レベルのものが多く、ヒトによる脂質代謝の改善に関わる実証は報告されていませんでした。)

2、その主なメカニズムも、各種の実験により細胞内レベルの反応まで解明した。

3、高脂血症の被験者には確実な効果がありながら、健常者にはほとんど影響が無いこと。 また、食経験の長い柑橘類などの成分とグルコースとの結合物であることから、副作用などの心配無く安全に健康食品・医薬品として服用できる。

4、動脈硬化は、心臓に起こる心筋梗塞、脳に起こる脳梗塞や脳出血の原因となる症状であり、血液中の中性脂肪の低下により動脈硬化の予防に役立つことは、三大疾病の内の心臓病、脳卒中による死亡率の低下に寄与できる。

5、糖転移ヘスペリジンは、既に商品化され使用されている食品原料で、各種健康食品・加工食品への利用が即時に可能。さらに、水溶性のため各種の食品に練り込んだり、ドリンクへの利用が容易で、健康食品・飲料などの分野での用途が大きく期待される。

こうしたことから、今回の研究は食品・医薬品業界など人々の健康に係わる分野で大きな注目を集めるものと思われ、林原としては自社での機能性研究を進めてデータを蓄積しながら、様々な分野での用途開発を積極的に行う予定です。

尚、この糖転移ヘスぺリジンに関する研究成果については、東京農業大学世田谷キャンパスで開催される第59回日本栄養・食糧学会大会で、5月15日に発表する予定です。

▲【糖転移ヘスペリジンの化学構造式】
ヘスペリジンにグルコース(ブドウ糖)1ないし数個がつながった構造
▲糖転移ヘスペリジン

【ヘスぺリジン】ビタミンPの一種で、ミカンやパプリカなどの植物の中に存在している。かつては、紫斑病(毛細血管の脆弱性に起因する痣などの症状)に対する有効成分としてパプリカやレモン汁から濃縮されていた。そこで、毛細血管を強化するビタミン様物質としてビタミンPと名づけられたが、これはヘスペリジンとルチンの混合物であった。また現在では、その作用もビタミンCとの相乗作用でないかといわれている。
食品分野では、ビタミンCの保護剤、ミカン缶詰・ジュースの白濁防止剤、味質改善素材などとして使用されている。また、化粧品分野でも、血流促進の目的で口紅などにも使用されている。また、ポリフェノール、フラボノイドの一種とも言える。

【血中脂質】 近年、消費者の健康への関心の高まりを受けて注目されているのが「血液のサラサラ度」などの血液の状態である。この状態に大きく係わるのが、中性脂肪(トリグリセライド)やコレステロールなどの血中脂質である。
コレステロールや中性脂肪は、脂質であるため水に溶けず、血液中では、アポ蛋白質とリン脂質で包んだ形で存在し、それらをリポ蛋白質という。このリポ蛋白質は、大きさや成分比率、比重などで5種類、すなわち、カイロミクロン、超低比重リポ蛋白質(VLDL)、中間比重リポ蛋白質(IDL レムナントリポ蛋白質)、低比重リポ蛋白質(LDL)、高比重リポ蛋白質(HDL)に分類される。
近年、それらの種類によって善玉・悪玉コレステロールと呼ばれたりするが、最新の学説では、いずれの脂質も本来は体にとって必要なものであり、問題となるのはその比率や量であり、根本的には過剰な脂質を正常に代謝できず、「レムナント(のこり)」と呼ばれる「のこりのリポ蛋白質」の蓄積が問題で、これらが多いと動脈硬化になり、脳卒中など血管障害の症状に繋がると言われている。

被験者のタイプ別にみた血中中性脂肪の変化

▲糖転移ヘスペリジンによる脂質代謝是正の作用機構

コレステロール負荷ニワトリの胸部大動脈組織】
24週間コレステロール負荷し、胸部大動脈を摘出した
▲糖転移ヘスペリジン投与(500mg/日) ▲コントロール


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