プレスリリースPress release

ブロイラー飼育前期のトレハロース給与で出荷体重が増加
抗菌性物質を使用しない無薬飼料で、より安全な鶏肉に
-日本家禽学会2018年度秋季大会(仙台)で発表-

2018/08/28研究開発

このたび、NAGASEグループの株式会社林原(本社:岡山県岡山市北区 代表取締役社長:安場直樹)は、山梨県畜産酪農技術センター(山梨県中央市)らと共同で、ブロイラーの育成期間に抗菌性物質無添加飼料を用いた際のトレハロース給与が生産性に及ぼす影響について調査いたしました。その結果、トレハロースを与えたヒナのほうが、通常の餌で育てたヒナよりも大きく成長し、さらにその後、トレハロース給与をやめても出荷時体重が増加していることが分かりました。これにより養鶏農家の生産性や収益の向上が見込めるとともに、消費者ニーズに対応する抗菌性物質が含まれない無薬飼料を使用した鶏肉の提供が可能となりました。  
なお、この内容については、9月5日から開催される日本家禽学会2018年度秋季大会(宮城県仙台市:東北大学)において発表いたします。

ブロイラーは、育雛期のヒナの管理によって出荷時の体重に大きな影響を及ぼすことが知られています。そのため、生後2週間程度、餌の中に抗菌性物質を混ぜて与えることが一般的に多いとされています。しかしながら近年は、消費者の食品に対する安心・安全意識の高まりから、抗菌性物質などの使用を極力控え、使用する場合でも期間を短くすることが求められています。
今回の研究結果は、トレハロースを0.5%添加した無薬飼料を給与することで、21日齢時の体重が優れた傾向を示し、さらにその後、トレハロースの添加をやめても出荷時の43日齢の体重は有意に増加するというものです。これにより、飼料に抗菌性物質を使用しないという消費者ニーズに対応できるばかりでなく、養鶏農家の生産性を高め、収益を向上させることが期待できます。

なお、トレハロースをブロイラーに給与する研究に関しては、出荷前のブロイラーにトレハロース入りの餌を与えると、鶏肉を加熱した際に発生する硫黄系のにおいや獣臭が抑えられるという内容で過去の日本家禽学会で発表しており、すでに山梨県内の農場を中心に実用化されています。

〇方法と結果
試験はブロイラー専用種(Ross308)の雌ヒナ208羽を用い、ウインドウレス鶏舎で実施しました。飼料は抗菌性物質無添加のブロイラー前期飼料を0~21日齢まで給与し、21~43日齢まではブロイラー仕上用を与えました。トレハロースの添加は前期飼料のみとし、試験区分はトレハロース無添加区(対照区)と0.5%添加区(トレハロース区)を設定し、各区26羽の4反復としました。測定項目は発育体重、飼料摂取量および解体調査とし、出荷時の生体販売価格から粗収益を算出しました。
結果として、21日齢時の体重に有意差はないもののトレハロース区で優れた傾向を示し、さらに43日齢時の発育体重ではトレハロース区が有意に高い値を示しました。また、ブロイラーの販売額からヒナ代と飼料費を差し引いた1羽あたりの粗収益は、トレハロース区が6.17円優れていました。以上の結果から、育成期間を通して抗菌性物質無添加飼料を給与するにあたって、トレハロースの0.5%添加は生産性を高め、収益を向上させることが示されました。

〇成果の内容・特徴
抗菌性物質無添加飼料にトレハロースを0.5%添加した飼料を0~21日齢まで給与して発育性を調査した結果、

  • 1.トレハロース0.5%添加飼料を給与することで、21日齢時の体重が優れた傾向を示し、さらに出荷時(43日齢)の体重は有意に増加しました(表1、図1)。
  • 2.飼料要求率には差はほとんどありませんでした(表1)。
  • 3.販売額からヒナ代および飼料費を差し引いた1羽あたりの粗収益は抗菌性物質無添加飼料が69.80円に対してトレハロース添加区は75.97円となり、6.17円優れていました(表1)。

ブロイラーのヒナ

出荷前のブロイラー

試験に使用したトレハロース(トレハ®A飼料)

参考:家畜に使用する抗菌性物質について 概要(農林水産省 HPより引用)
http://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/yakuzi/koukinzai.html

家畜の健康を守り、安全な畜産物を安定的に生産するために抗菌性物質は、重要な資材です。しかし、家畜に抗菌性物質を使用すると、薬剤耐性菌が生き残って増えることがあり、抗菌物質の効きが悪くなることがあります。また、食品などを介して薬剤耐性菌が人に伝播した場合、人の治療のために使用される抗菌性物質が十分に効かない可能性もあります。このため農林水産省では、薬剤耐性菌のリスクを低減していくため、畜産分野における抗菌物質の適正使用の確保のためのリスク管理措置の徹底や、薬剤耐性菌のモニタリング調査などに取り組んでいます。

◆本プレスリリースに関するお問い合わせ先
株式会社林原 広報室 担当:小林 TEL.:086-224-4315

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