Social Contributions

ESG - 社会 社会貢献活動

社会貢献活動に対する考え方

ナガセヴィータ(Nagase Viita)は、事業活動を通じて社会に貢献するとともに、地域の皆さまとも良好な関係を築いていきたいと考えています。林原美術館の運営支援やナガセヴィータ ライフセミナーの開催をはじめ、文化・スポーツの発展への寄与を目指してさまざまな社会貢献活動を行っています。

林原美術館の支援

林原美術館は、日本をはじめとする東アジア地域の絵画や工芸品と、旧岡山藩主池田家の大名調度品を中心とするコレクションからなる美術館です。国宝3件、重要文化財26件を含む収蔵品は、刀剣・武具・甲冑・絵画・書跡・能面・能装束・彫漆・螺鈿・蒔絵・陶磁・金工等々、多岐にわたります。
ナガセヴィータは、地域の人々の豊かな生活文化の実現に貢献するため、そしてこれらの貴重な文化財を次の世代に伝えていくため、長年にわたり林原美術館の運営支援を行っています。

林原美術館
林原美術館の外観・展示室

ナガセヴィータ ライフセミナーの開催

ナガセヴィータでは新たな社会貢献活動として2017年度から、一般の方々を対象とした講演会「ナガセヴィータ ライフセミナー」を開催しています。人々の生活に密着したライフに係る内容をテーマに選び、消費者の皆さまに役立つ情報の発信を行っています。

第1回 2018年2月10日(土) 「生きる喜びを創造するおいしい嚥下食へ」
講師/金谷 節子氏(金谷栄養研究所 所長)
「“トレハロース”ってなに? ~使って嬉しい 作って嬉しい トレハⓇ7つのポイント~」
講師/佐藤 奈都子氏(株式会社林原 管理栄養士)
「栄養士と患者さんでつくる高齢者糖尿病の食事 ~こころと体にやさしい家庭版真空低温調理~」
講師/福島 芳子氏(医療法人社団順修会 谷口内科 管理栄養士)
第2回 2019年2月23日(土) 「食の情報 ウソ? ホント? 
フェイクニュースに惑わされない科学的思考を身につける」
講師/松永 和紀氏(科学ジャーナリスト)
第3回 2020年10月20日(火) 「栄養と健康 “ 腹八分目のメタボ対策と、しっかり食べるフレイル対策 ”」
講師/中村 丁次氏(神奈川県立保健福祉大学学長/日本栄養士会会長)
第4回 2022年3月7日(月) 「口から始める全身の健康 うるおいアップで元気に長生き」
講師/斎藤 一郎氏(鶴見大学歯学部教授)
第5回 2023年3月13日(月) 「腸活でカラダもココロも健康に!! ~腸内細菌の多様性が健康長寿の秘訣~」
講師/内藤 裕二氏(京都府立医科大学教授)
第6回 2024年3月19日(火) 「『老化』も予防と治療が可能になる時代がやってくる!~老化時計を遅らせて健康長寿を目指す!!~」
講師/山田 秀和氏(近畿大学アンチエイジングセンター教授/一般社団法人日本抗加齢学会理事長)
第5回の様子

岡山ウェルネスの開催

サステナビリティ重要課題の一つ「健康寿命延伸への貢献」を推進する活動として、2020年に健康推進イベントを岡山市内でスタートし、2022年からは「岡山ウェルネス」と題して継続しています。岡山市をはじめ、食や健康に関連のある企業・団体と協力して、体力測定や健康チェックを実施しており、地域の皆さまの健康づくりに寄与しています。

イベント「気になる。身になる。岡山ウェルネス ~わたしの健"幸"チェック!~」

林原賞の創設および顕彰

「がん研究の推進と撲滅」を目的に「林原賞」を創設し、1963(昭和38年)より毎年優れた研究成果を上げられた岡山大学医学部の医学者1~4名に対して、岡山医学会から賞状と記念品を授与し顕彰してきました。2013年からは岡山医学会賞の「がん研究奨励賞(林原賞・山田賞)」に改編、2022年には3名の方々に賞を授与しました。
これまでの受賞者は115名にのぼり、受賞された方々はがん医療の最先端で活躍されています。

地域のスポーツ・文化への協賛

地元岡山のスポーツ・文化の振興を願い、スポーツ団体、文化団体への協賛をしています。主な協賛としては、2016年よりサッカーJ2のファジアーノ岡山のクラブスポンサーとして広告協賛を続けています。また、岡山シンフォニーホールを拠点とするオーケストラである岡山フィルハーモニック管弦楽団を、賛助会員としてサポートしています。

明治安田J2リーグ ファジアーノ岡山岡山フィルハーモニック管弦楽団

製品・技術による文化財の保護

ナガセヴィータの製品や技術は、貴重な文化財保護のために活用されています。

トレハロースによる埋蔵文化財の保存処理

発掘調査で見つかった木製の船や農具・漆器などの有機遺物は微生物によりその細胞が破壊されて過剰な水分を含んでいるため、著しく強度が低下しており、そのまま乾燥させると激しく収縮して壊れてしまいます。このような状態の木製品を保存するため、水と安定した物質を置換し、乾燥状態でも安定させるための保存処理を行います。
従来、出土木製品の保存処理にはポリエチレングリコール(PEG)含浸処理法が用いられてきましたが、含浸処理に時間がかかることや、木鉄複合材や海底遺跡出土品の場合は処理後に劣化が生じるなど、さまざまな問題が起こります。このような問題を解消すべく大阪市文化財協会伊藤幸司氏(現 東北芸術工科大学教授)の研究グループが「トレハロース含浸処理法」を開発し、国内外に普及、活用を進めています。2021年3月には松浦市鷹島海底遺跡から出土した元寇沈船の隔壁板(5.5m)の含浸処理を完了し、さらに2022年10月に海底から引き揚げた大型木製イカリの保存処理を開始するなど、大きな成果をあげています。

トレハロース含浸処理法 左:加熱したトレハロース水溶液に隔壁板を浸漬 右:隔壁板に浸み込ませたトレハロースを固化

掛け軸や巻物の修復に欠かせない古糊の代替品を、酵素技術で開発

古糊は、接着乾燥後も紙をこわばらせず、カビが生えにくい、水を含ませると簡単にはがれるという性質を持っており、掛け軸や巻物など和紙を使った文化財の修復に欠かせない接着剤です。修復工房の職人が小麦でん粉を煮た糊を約10年かけて熟成させて作っていますが、手間と時間がかかり安定供給に難がありました。ナガセヴィータでは、東京文化財研究所、文化財修復会社の岡墨光堂と共同で古糊代替品の開発に着手し、酵素技術を用いて約2週間という短期間で古糊代替品を製造することに成功、修復業者に提供しています。

修復した掛け軸の柔軟性の比較(左:ナガセヴィータ製古糊代替品、右:伝統的製法による古糊)

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「意外な分野でも活かされる糖質の力 トレハロースを用いた埋蔵文化財の保存処理」

壁画等の文化財の表面に剥落止めとして塗布されたPVA膜の除去酵素の量産

建築物壁画等の保護に使われてきたポリビニルアルコール(PVA)は、時間の経過とともに劣化し塗布した画を傷めるケースが発生しており、その除去が長年の懸案となっていました。このPVAを分解する酵素を大阪市立工業研究所(現 大阪産業技術研究所)が開発し、同研究所からの依頼でナガセヴィータがPVA分解酵素剤を調製、東京文化財研究所に提供しています。