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林原 研究開発ストーリー 世界で初めて量産化を実現!

イソマルトデキストリンとは

イソマルトデキストリンの製造方法

イソマルトデキストリンは、トウモロコシなどのでん粉に、微生物由来の酵素を作用させて製造します。
水溶性食物繊維の一種で、ぶどう糖のみで構成されています。

イソマルトデキストリンの特徴
色がない、においがない、甘さがほとんどない
食物繊維含量80.0%以上(固形分あたり。酵素-HPLC法。)
水溶液は無色澄明
甘さがほとんどない(砂糖の約20分の1)
においがない
易水溶性(70 g 以上/100 g:20℃の水)
低粘度(分子量の近いデキストリンに対して)
高安定性

イソマルトデキストリンは、水に溶けやすく食物繊維が豊富。さらに色や味、においに与える影響がわずかで、粘度も低いため、さまざまな食品に無理なく配合でき、自然に食物繊維を摂ることができます。

イソマルトデキストリンの生理機能

イソマルトデキストリンは、水溶性食物繊維の一種です。食物繊維は大腸まで到達し、さまざまな生理作用を発揮することが報告されています。中でも水溶性食物繊維は腸内細菌のエサになりやすく、最近健康面に密接な関係を持つといわれる腸内フローラを良好な状態に保つことが報告されています。したがって、イソマルトデキストリンも腸を起点としたさまざまな生理機能が期待されます。

  • 腸内細菌叢改善作用
  • 便通改善作用
  • 下痢軽減作用
  • 免疫調節作用
  • 血糖上昇抑制作用
  • 脂質代謝改善作用
  • 満腹感持続作用

食物繊維とは?

食物繊維の定義
日本食品標準成分表2015年版(七訂)では、食物繊維は「ヒトの消化酵素で消化されない食品中の難消化性成分の総体」とされています。食物繊維は、消化管機能や腸の蠕動(ぜんどう)運動の促進、栄養素の吸収を緩慢にするなど、さまざまな生理作用が知られています。1)
食物繊維は消化吸収されないため、古くは食べ物のカスと考えられていた時代もありましたが、現在はさまざまな有用性がわかってきたことから「第六の栄養素」と呼ばれることもあります。
食物繊維の分類

食物繊維には不溶性のものと水溶性のものがあり、さらに水溶性の食物繊維では水溶液の粘度が高いものと低いものがあります。これらの違いにより生理作用も異なってくると考えられています。

不溶性 セルロース、ヘミセルロース、リグニン など
水溶性 高粘度 ペクチン、グアーガム、グルコマンナン など
低粘度 難消化性デキストリン、イソマルトデキストリン など
食物繊維の生理作用

食物繊維には以下のような生理作用が報告されています。

  • 排便・便性改善作用
  • 血糖調節作用
  • 脂質代謝改善作用
  • 腸疾患の抑制作用
  • プレバイオティクス作用
  • 免疫調節
  • 消化管機能調節
  • ミネラル吸収促進
  • 有害物質毒性軽減作用

不溶性食物繊維は、水分を吸収して便の嵩を増す作用があり、水溶性食物繊維は、プレバイオティクスであるとの考え方があります。
※プレバイオティクス
特定の腸内細菌の増殖および活性を選択的に変化させて宿主に有益な影響を与え、宿主の健康を改善する作用のある難消化性の食品成分。

日本人の食物繊維摂取状況

厚生労働省の平成25年の調査では、1日の摂取目標量に対して食物繊維が最大7.5g不足しています。

出典
1)文部科学省ホームページ
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/03/14/1365334_1-0101r3.pdf

腸内細菌叢改善作用

ビフィズス菌が増え、腸内フローラを改善しました

検証試験①

ラットにイソマルトデキストリンを 3.3% , 6.7% , 10.0% 含む飼料を与えて2週間飼育し、2週間後に盲腸内容物のビフィズス菌、ファーミキューテス門、バクテロイデス門の細菌数を測定しました。

結果
イソマルトデキストリン6.7% 以上の群で、善玉菌であるビフィズス菌数は対照群(イソマルトデキストリン0%)と比較して約100倍増加しました。1)
「非肥満の人に比べ肥満の人で有意に高い」2)と報告されているファーミキューテス門(F)とバクテロイデス門(B)の細菌数の比率(F/B比率)は、イソマルトデキストリン3.3%以上の群で対照群(イソマルトデキストリン0%)よりも有意に低下しました。1)

検証試験②

1週間に2~4回の排便回数の成人女性10名に4週間、イソマルトデキストリンもしくはマルトデキストリン(対照群)を毎食後10g摂取してもらい、4週間後のビフィズス菌占有率を比較しました。

結果
腸内のビフィズス菌占有率が有意に増加しました。

出典
1)Nishimura et al., Biosci. Biotechnol. Biochem., 80(3), 554. 2016
2)Verdam et al., Obesity, 21(12), E607, 2013

便通改善作用

便秘傾向の方の排便日数および排便量が増加しました

検証試験

1週間に2~4回の排便回数の成人女性10名に4週間、イソマルトデキストリンを毎食時10g摂取してもらい、摂取前と4週間後の排便日数および排便量を比較しました。

結果
摂取前と比べ、排便日数と排便量が有意に増加しました。

下痢軽減作用

下痢症状を緩和しました

検証試験

マウスに通常飼料を与え、飲料には水(対照群)あるいはイソマルトデキストリン2%水溶液を2週間前投与した後、デキストラン硫酸ナトリウム2%水溶液(対照群)あるいはイソマルトデキストリン2%+デキストラン硫酸ナトリウム2%水溶液を10日間投与し、その間の下痢スコアを記録しました。

結果
デキストラン硫酸ナトリウム2%水溶液投与開始から5日目以降、イソマルトデキストリン群では対照群に比べ下痢症状が低く推移し、10日目では有意に低下しました。

免疫調節作用

免疫調節作用を示しました

検証試験①(IgA抗体産生増強)

マウスに通常飼料を与え、飲料には水(対照群)あるいはイソマルトデキストリン水溶液(2% , 5%)を与えて4週間飼育し、1, 2, 3, 4週の糞便IgA抗体量を測定しました。

結果
5%イソマルトデキストリン群でIgA抗体産生が有意に増加しました。1)

検証試験②(IgE抗体産生抑制)

マウスに通常飼料を与え、飲料には水(対照群)あるいはイソマルトデキストリン水溶液(2% , 5%)を与えて5週間飼育し、飼育1および3週間後に卵白アルブミン(OVA)を腹腔内投与してIgEを誘導し、5週間後に血清の抗OVA-IgE 抗体価を測定しました。

結果
5%イソマルトデキストリン群でOVA特異的IgE抗体産生が有意に減少しました。2)

出典
1)櫻井ら, 日本農芸化学会2015年度大会要旨集, 2015
2)谷口ら, 日本農芸化学会2015年度大会要旨集, 2015

血糖上昇抑制作用

グルコースなどの糖質負荷後の血糖上昇を抑制しました

検証試験

血糖の上がりやすい被験者にグルコースを負荷し、2時間後までの血糖の推移をイソマルトデキストリン同時摂取の有無で比較しました。

結果
イソマルトデキストリンありの場合、イソマルトデキストリンなしと比較して血糖の上昇が抑制されました。1)

※この他にもイソマルトデキストリンの同時摂取により、主食に多く含まれるでん粉、菓子に多く含まれる砂糖負荷時の血糖の上昇抑制も、確認されています。

出典
1)定清ら, 第70回日本栄養・食糧学会大会要旨集, p172, 2016

脂質代謝改善作用

肝臓の脂肪蓄積や食後高脂血症を抑制しました

検証試験①(肝臓脂肪蓄積抑制)

マウスに高脂肪食を8週間与え、飲料には水(対照群)あるいはイソマルトデキストリン 2%水溶液を与えました。8週間後、肝臓中の中性脂肪量を測定しました。

結果
イソマルトデキストリン投与群で肝臓中の中性脂肪量が対照群より有意に低下しました。1)

検証試験②(食後高脂血症抑制)

マウスに通常食と水、高脂肪食と水(対照群)または高脂肪食とイソマルトデキストリン2% 水溶液を与え、3週間飼育し、3週間後にオリーブ油を経口投与し、投与前後での血中中性脂肪を測定しました。

結果
高脂肪食と水を与えた対照群では、通常食と水を与えた群と比較して、オリーブ油投与2時間後の血中中性脂肪量が2倍以上になりました(食後高脂血症)。
高脂肪食とイソマルトデキストリン2%水溶液を与えた群では、血中中性脂肪量が有意に低下し、通常食を与えた群と同レベルに維持されました。2)

出典
1)紙谷ら, 日本農芸化学会2013年度大会要旨集, 2013
2)谷口ら, 日本農芸化学会2013年度大会要旨集, 2013

満腹感持続作用

満腹感が長く維持されました

検証試験

「マルトデキストリン3.75 g-DSを含む水溶液200 mLとパン」(対照群)あるいは「イソマルトデキストリン3.75 g-DSを含む水溶液200 mLとパン」を 健常成人28名にダブルブラインドクロスオーバー法でそれぞれ摂取してもらい、摂取後、満腹感についてVAS法による評価をおこないました。

結果
「イソマルトデキストリン水溶液とパン」を摂取した場合、「マルトデキストリン水溶液とパン」を摂取した場合に比べて 、満腹感が有意に持続しました。1)

出典
1)井上ら, 第70回日本栄養・食糧学会大会要旨集, p172, 2016